2013年4月15日月曜日

営業特金と厚生年金基金

黒田緩和でバブルが来るのか来ないのか。
いい意味でも悪い意味でも、国民の関心は高まります。
ここにきて、タンス預金を株に移す人も増え始めているようです。
いくら日銀が銀行から国債を買い上げてもそれだけではバブルにはなりません。
バブル生成の2大要素をガルブレイスは「バブルの物語」でこう指摘しています。

①時代が収益及び価値が大幅に増大するような新局面に突入し、それが持続するとみんなが信じる
②投機のムードを察知する保守的な人たちも、投機が終わる前に手を引くことができると確信して上昇機運に便乗する

確かに①のムードは形成されつつあります。8割近い国民が支持をしています。ただ、実際に景気が良くなると思っている人はまだ過半数に達していないようでありますが。

80年代後半のバブルのけん引役はにわか仕立ての機関投資家と営業特金およびファントラです。何と言っても大手4社の営業特金の存在は非常に大きかったと思います。89年末には営業特金・ファントラの残高は43兆円まで増えていました。株が89年末に高値を付けたのも、年末に営業特金の廃止が決まったということが最大の理由でしょう。

今回は、この営業特金にあたるものはありません。機関投資家も分散投資が中心で、大して株のウエートを上げるとも考えられません。この辺の違いは頭に入れておく必要がありそうです。営業特金の原資も多くは金融機関からの借り入れによるものでした。製造業が「モノづくり」ではなく「金づくりに走ったわけです。「財テク」という言葉がもてはやされました。財テクをやらない企業の経営者は超保守的とまでみなされました。

しかし、そう考えると厚生年金基金の代行制度はちっとも不自然ではなかったのもうなずけます。厚生年金基金は、国が運用するはずの年金資産の一部を借りて、基金が持っている資産と合わせて運用する仕組みです。企業年金自身が持っている資金と厚生年金本体から借りている資金の比率はだいたい基金全体で2:8です。ということは、厚生年金基金は、もともと持っている資金の約5倍ものお金を運用しているということになります。

企業が銀行から融資をうけて財テクに走ったのはバブル期の話ですが、驚くことに厚生年金基金はいまだに、国からお金を借りて財テクを続けていたのです。

営業特金は多くの膿をだして90年初頭に清算されましたが、厚生年金基金はその後も生きながらえ、ようやく今回廃止が決まると思いきや、条件付きで存続が認められたわけです。