2013年5月30日木曜日

アべノミクスはもともと難易度の高い政策だったはず

一向に抜け出せないデフレ。
実質破たんしている年金制度。
税収よりよりも大きい単年度財政赤字。

何もせずに座してこのまま死を待つか、
少しでも地道な解決を目指すか、
一発勝負をかけるか。

追い込まれた状況の中で、自民党は一発勝負をアベノミクスにかけた。
財政ファイナンスと見做されるりクスも辞さない覚悟を決めた。
だって、このままでは日本は沈没してしまうのだから。

熱狂的なリフレ派と
あまりにも情けない民衆党政権への反動による支持で政権をとったが、
タイミングよく円安株高が進んだおかげで、徐々に国民の多くが安倍政権に命運を託すようになった。

しかし、冷静に立ち止まって考えると、もともとそんなに簡単なチャレンジではなかった。

経済学的にも証明されていない未知の世界だし
景気回復の兆しが見えるアメリカも、すべてがQEのおかげだとも思えない。

そいういうことにふと気が付いた。
そういう状況ではないかと思う。

過度に悲観する必要もないが、楽観過ぎるのもどうかということだろう。
それだけ政権は難しい課題にチャレンジしているということ。

2013年5月28日火曜日

正体を現した本尊と現さない本尊

黒田総裁の次元の異なる金融政策は、中央銀行のヘッジファンド化を宣言したようなものでした。巨大なヘッジファンドですが、手の内を最初にすべて見せてしまいました。勝負をかけたともいえます。

すべてを最初にすべてを見せることで、相当のインパクトを与えましたが、一方でその後の手足は制約され、インパクトが薄れると、逆に影響力は次第に薄くなってしまいます。

それに比べ、資金力は日銀には比べようがなくてもその手の内行動が読めない本尊の動きは市場にインパクトを与えます。

正体を現さない本尊の動きが重なれば、木曜日のような市場の動きは起こりうるのでしょう。正体をさらしてしまった日銀の金融政策の影響力はここからはさほど大きくない可能性が高そうです。

あとは口先介入と、長期金利が過度の変動をきたさないようにうまく調節をすることぐらいしかないのかもしれません。

2013年5月26日日曜日

株価の暴落は歓迎すべき

アベノミクスは失敗に終わるという論調が一部出ていますが、それもいかがなものかと思います。
中国まで経済紙で言及したとも言います。

もともと、金融緩和を突破口にしたアベノミクスの成功はナローパスを通す非常に微妙なものとされていたと思います。

それが、順調に進み過ぎる円安株高で楽観論が広がりすぎたところに警鐘が鳴らされたと考えるべきだと思います。

まだまだ、全然のりしろがあるわけで、その間にどんどん政策を出していけばよいはずです。

早めに目の覚めるような衝撃があったのはむしろ歓迎すべきことだと思います。

日曜討論もアベノミクスの大反省会さながら。野党も、いたずらに自民党を責めるのではなく、一致協力してホンモノの改革に一緒に取り組んでいただきたいと願います。金融緩和が時間を買う政策にすぎないことに気づかないと、先週の下げどころでは済まないことになると思っています。

2013年5月24日金曜日

激震走る

久々の大幅下落。
ほとんど調整のなかった相場に大きな衝撃が走りました。

期待の上に作り上げられた相場ですから、振れが大きくなるのはやむを得ないでしょう。

出口戦略に向かうと思われるアメリカが、いきなり舵を切るのではなく観測気球を上げながら慎重に進めると思われますので、まがいなりにも実体経済がついてきているアメリカが大きく崩れることはないでしょう。そうであれば、日本もこれが本格的な調整につながることはないでしょう。

しかし、日本はアメリカと違うということは意識していく必要があると思います。
なんだかんだ言いながら、アメリカは出口に向かっています。

日本はようやく入口に立ったばかりで、株高円安以外の成果はまだ大きくは現れてはいません。

政治家は参議院選挙を控えて守りに入る姿勢が目立ち、余り前向きな発言が聞こえてこないことこそが心配です。



2013年5月23日木曜日

NTTが確定拠出年金移行を提案

OBの年金減額が認められなかった過去を持つNTTですが、再び動きました。

確定拠出年金への移行は大きな流れになりそうです。

公的年金では問題になるインフレ対策は、もともと企業年金にはインフレ調整はないのであんまり大きな問題ではないですが、やはりそれに対応できる商品の開発が急がれると思います。

いちばん簡単なのはインフレ連動国債で運用するコースや、商品などを含んだファンドの開発でしょう。同時にこれから、ますます投資家教育は重要になりそうです。

年金問題を解決していくには、

自助努力型への移行
インフレ対応商品の拡充
長生きリスクに対する共済システムの導入
生活困窮者への保護

これらの組み合わせによって、既存の国民年金や厚生年金を大幅改革していくしかないと思います。アベノミクス第4の矢として大胆な提言が出ることを期待します。

2013年5月21日火曜日

結果としての円安か手段としての円安か

もちろん、はっきりと線引きすることはできません。
手段としての円安だと、海外から受け止められると余分な摩擦が生じます。
通貨安競争に火を注ぎかねません。

その辺をうまくやる必要があるわけですが、麻生さんはうまくやってるように見えます。
どうみても今のところ、円安は手段になってますけどね。ここまで順調に来ただけに、慢心は禁物です。麻生さんは調子に乗って口を滑らさないことだけはお願いします。

日銀の資産買い入れのうち、ETFの買いはこの水準では余分ではないかという気もしますが、どうなんでしょう。
むしろ、これまで購入した残高を一部放出して、市場の価格発見能力を試すとともに、次の一手を読みにくくするという効果を狙ってもいいのではないかとも思います。

2013年5月17日金曜日

作家橘玲が国民年金基金に提言


国民年金基金についての私的提言

話題になりにくい年金問題ですが、かなり「いいね」や回覧されています。

年金のなかでも、さらに話題になりにくい国民年金基金についてベストセラー連発作家の提言です。

国民年金基金はわりと新しく、まだ本格的に支給が始まってないので、政権のパワーがあるうちに解決してしまえば、今後の年金問題解決への糸口になるのではないかと思います。

国民年金基金は自営業者が国民年金に上乗せして、任意で個人が行う年金制度です。芸能人やすポーツ選手がたまに宣伝しています。

特徴は

予定利率によって支給額が加入時に決められている。
インフレ時の対応がない。

という2点です。

特に、90年代の初期に加入した人たちの予定利率が高いため、将来の支給に必要な積立金が不足しています。

橘氏は支給が本格化する2015年までに、制度を廃止して積み立てたお金は返還することを提案しています。
そのうえで希望者は、確定拠出年金に移行させて、インフレ連動債で運用するコースが選べるようにすべきであると述べています。

身動きが取れない厚生年金や厚生年金基金に比べ、まだ手の打ちようがありそうです。
これすら、解決できないようでは、年金問題は永遠に解決できないでしょう。

支持率の高い今こそ政権の英断が求められます。

2013年5月16日木曜日

戦力全投入


インパクトを最大限出すため、2年間でやることは全部しめし、戦力の逐次投入はしないと、大見得を切った異次元の金融緩和で、株高円安は想定以上に速いペースで進みました。


債券から株、リスク資産へお金が流れることは今回の次元の異なる量的緩和の狙い通りです。
しかし、長期金利の上昇は予想外。

想定では、長期金利の上昇は抑えこめるはずでした。

しかし、国債買い入れは計画的に2年間にわたってやらなければなりません。
手の内を最初に全部見せた作戦が、当面の手足をしばってしまうことになったのかもしれません。


まだ、マネタリーベース2倍までは全然余裕があるので、国債を買いまくって長期金利の上昇を抑えることは可能です。

しかし、実体経済に先行して金融市場が走りすぎるより、長期金利の上昇が多少ブレーキがかかってもいいのではないでしょうか。

ここまでで、金融政策の効果は十二分に出ています。あとは、長期金利の急上昇を招かないように日銀は黒子に徹し、いよいよ金融政策から政治にバトンタッチすべきときではないでしょうか。


2013年5月14日火曜日

長期金利上昇


量的緩和にもかかわらず、長期金利は上昇を始めました。

そもそも、日銀の買い入れに応じるかどうかは金融機関の任意です。
一方で、日銀は金融機関がリスク資産にお金を振り向けることを「期待」しています。

しかし、この理屈は何か変です。

この順番でお金が流れるなら、金融機関はわざわざ日銀の国債買い入れに応じなくても、直接市場で売ってリスク資産を買えいいのです。

5/の日銀レポートは

運用先に困るところまでは金融機関は買い入れには応じないどろうといっています。

裏を返すと国債買い入れが進むのは、金利が上昇し国債が下落して金融機関が国債を売却したくてもできなくなったときだとも読めます。 また、その場合は新規国債の消化が困難になっている状況も考えられますので、日銀の国債引き受けに近い状態であることも考えられます。

最近では誰も口にしなくなりましたが、
金融緩和が成功するかどうかはナローパスを通すようなものだ
ということが、改めて意識されます。

2013年5月11日土曜日

年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」

年金情報編集長 永森秀和氏が表題の著書を近日中に出されるようです。
内容は厚生年金基金制度を操ってきた厚生官僚の意図について書かれるのだと理解しています。

不思議なのは新刊情報が外務省のツイッターで流れたことです。ただ単に事務方の機械的な作業の中で流れただけだと思いますが、どこよりも早く流しています。???

なかなか、年金問題については一筋縄ではいきません。積み立て不足は明白なのですが、なかなか、経済成長を前提にしない設計を前面に出して負担を求めるわけにはいきませんから、どうしても超楽観シナリオで先送りを続けるしかありません。

インフレで大幅に年金価値が減価すれば、あいまいなまま問題を着地させることはできるかもしれません。その腹積もりがやはりあるのではないでしょうか。

2013年5月7日火曜日

期待に働きかけるのは政治責任からの逃げに終わらせないで欲しい

日銀の展望レポートは物価上昇率見通し2%に沿った内容になりました。

日銀の国債買い入れが
物価上昇を引き起こし
景気が良くなる

というシナリオが実現するかどうかは、日銀の断固たる姿勢を国民が信じ、明日はよくなることを「期待」して消費・投資を拡大するかどうかにかかっています。

「期待」がすべてです。経済学的には証明されていませんし、決着はついていません。だから、壮大な実験といわれているわけです。

しかし、よく考えてみますと「期待」に期待するならなんでもいいわけです。それこそ、政治の取り組み姿勢でいいわけです。景気対策、構造改革、財政改革、社会保障改革なんでもいいわけです。政治に期待して国民が明日はよくなる「期待」を持てれば、そもそもこんな壮大な実験に頼る必要もないわけです。

3本の矢4本の矢といっていますが、結局は政治では「期待」を生めないから、金融政策にすがる。こういわれないように頑張っていただきたいと思います。

2013年5月5日日曜日

なかなか普及に弾みがつかない確定拠出年金

全日空・パナソニックと確定拠出年金導入の動きが広がっています。制度導入後10年以上もたつのになかなか導入に弾みがつきませんでしたが、今年はいい機会になるのではないでしょうか。
  • 金融市場が大きく動き資産運用に関心を持つ人たちが増えている。
  • 株式組み入れ比率の高かった人たちの運用利回りがプラスゾーンへ浮上してきた。
  • 厚生年金基金の原則廃止の方向が決まった。
このチャンスに普及に弾みをつけるべきなのではないでしょうか。
これまで、なぜ普及が進まなかったというと、どんなにうまく資産配分を選んだ人でも、運用の成果がほとんど出なかったという要因が一番大きいと思います。今回の上げ相場で、確定拠出年金の時価評価が大きく増加した人たちが続出しているはずなので、その人たちの声、実績、経験を広くアピールしていくべきではないでしょうか。
 

2013年5月1日水曜日

AIJ事件とMRI事件

全体的な論調としてはMRI事件のほうが悪質だとする意見が多いようですが、違和感があります。
最初からだますつもりの度合いがより大きいということなのでしょうか。

しかし、最初の度合いやつもりは本質論からいえば関係ないはずです。
結果がすべてであるという考え方をしない限り、この手の犯罪がなくなるとは思えません。

ほとんどの大型粉飾・詐欺事件は、最初は小さな出来事から始まっています。
ちょっと借りる、ちょっとごまかすところから、始まっています。
最初から、だますつもりのものは大型詐欺には意外と少ないのではないでしょうか。

しかし、最初の小さなだましから後戻りできなくなった事実、これが決して軽減されることがあってはならないのだと思います。