物価上昇率2%というのは本当に目標なのだろうか。
目標とみせかけた高度な手段ではないだろうか。
そう考えたほうが合理的だ。
金融緩和によって物価が上昇するルートは依然として極めてあいまいだ。
しいて言えば、期待に働きかけるということなのだが、
そういう意味では、相当これまでうまくいっている。
すでに4か月も時間を稼げた。この調子で時間をかせげれば、アベノミクスの1本目の矢としての役割は十分果たしたといえるのではなかろうか。
物価なんか本当は上がらないほうがいいに決まっている。
ほっておいても消費税が3%上がるのだ。
とにかく、何でもやる、2%は必ず達成する、こういい続けることが実はこの政策の最大のポイントなのだ。でも、本音はムリだとわかっている。
だとすると、目標の2%を取り上げてあんまり政府や日銀を追いこんではいけないということになる。みんなで有効だと信じるフリを続けなければいけないということだ。
こういうことを指して、白川総裁は、「言葉による金融政策は危うい」と一言残して、日銀を去って行ったのではないだろうか。
深い、実に深い駆け引きである。