2013年3月1日金曜日

投資と投機

アベノミクス効果で市場がにぎわっているので、最近投資運用について考えることが多くなった。

まず、投資と投機の違いについて自分なりに整理。

投資とは
 - 事業に資本提供し、オーナー(株主)となりリスクに見合う収益を期待する
 - どちらかというと長期の運用
 - インカムを得ながらキャピタルゲインを狙う
 -  市場全体はプラスサムの状態で、儲かる人が多い
 -  関係者に価値を生み出す
 -  資金が集まりすぎると、投資の期待収益率が低下したり、価格の上昇が需要減供給増をもたらすことで、均衡状態へ戻ろうとする力が働く

投機とは
 -  どちらかというと短期の運用
 -  売買による差額の利益を主たる目的とする
 -  関係者にはなんら新たな価値を生み出さない
 -  あるいは関係者への影響は鑑みない
 -  加熱するとバブルを生む
 -  市場全体がゼロサム、ないしは仲介者の存在分マイナスサムで、ほとんどの人が損をする
 -  対象となるものに稀少性があり、価格が上昇しても容易に供給が増加しないものを対象にする
 -  資金が集まるほど期待が高まり加熱する

まとめると、投資はリスクに見合ったリターンが期待でき、それを実現しようとする行動だといえよう。その行動によって経済・社会全体にもプラスの効果が期待できる。

一方、投機は、多分に利己的な行動で、他人を出し抜いてでも利益を得ようとする行動。行き過ぎてバブルを生むこともあり、経済・社会全体にはプラスの効果は生まない。

投資が正しくて投機が正しくないというわけではない。そもそも、完全に投資と投機を区別はできないわけだし。投機により市場の厚みが増すという効果もある。
ただ、投機と思われる市場・商品・手法で取引を続けることで勝ち残ることは相当難しいということは言えそうだ。

投機的な手法でも利益はあげられる。それが証拠に期待値がマイナスであるギャンブルにおいてさえ、少数のプロ(それで生計を立てる人)が存在する。パチプロ、麻雀、ポーカー、ブラックジャックなど。彼らは、特殊な技能を磨くことで、期待値をプラスにしているのだ。
また、期待値が完全にマイナスとなる他のギャンブルでも、たまたま大きく賭けた時に勝つなどして勝ち逃げできることもある。

証券投資において投機的取引によって収益を上げている人はギャンブルの世界に比べるとはるかに多いだろう。なぜなら期待値がギャンブルよりも圧倒的に高いからである。

ギャンブルはすべて投機だといえるが、証券投資においては投資と投機の線引きが非常にあいまいなので、自分はあくまでも投資を行ってるつもりということも多いだろう。

投資家が投資ではなく投機を行う3つの理由は
①損益以外の要素を楽しむ(ポジポジ病ともいう重い病)
②投機だと気づかないか、最初は投資だったものがいつの間にか投機になってしまった
③不利な戦いだと割り切ったうえであくまでも勝ち逃げを狙う
などが考えられる。
運用のプロといわれる人たちにも③にあたる投機を行うことがある。
成功報酬型のトレーダーや大勝を狙うヘッジファンドに多いだろう。
一般投資家とプロとの垣根はずいぶん低くはなったが、投機的なプロの手法を投資家がそのまままねするのは、危険が大きすぎるだろう。

アベノミクスによって、久々に投資がまっとうに報われそうだ。ただ、金融緩和であぶりだされた投機マネーの動きを理解しておかないとそれこそ、投資のつもりがいつの間にか投機に巻き込まれることにもなりかねない。

こんな時だからこそ、投機に分類される手法も含めて、投資について点検するべき時ではなかろうか。