2013年3月7日木曜日

電子書籍に動きあり

角川書店が100円でミニッツという電子書籍を本格展開するらしい。販売上手な幻冬舎も分割配信という形で低価格を実現するようだ。

電子書籍を出版社から1冊、自身で3冊出していることもあり、これからの動向については気になっていた。

大手出版社はいかに紙ベースの出版とすみ分けるかというのが大きな戦略課題だろう。今回の2社の取り組みはその第一歩だといえる。大手の一角が動き出したことで、ますます業界の動きからは目が離せなくなってきた。同時に、アップルも書籍配信に本格参入している。

アマゾン、アップル、楽天の3社が電子書籍プラットフォームという土俵で対決する。こちらも見ものだ。いまのところ、アマゾンがワンクリック購入・自動同期で先行している。しかし、アマゾンはキンドル端末を普及させるため、最初に電子書籍購入をパソコンから行わなければならないというムリ筋を行っている。しかも、そのパソコンからは購入した電子書籍は見れないという致命的な弱点がある。

スマートフォンユーザーは一旦パソコン経由で同期しなければならないということ。さらに、無料のキンドルアプリを使うということも知らない人が多い。そこをアップルがどうついてくるのか。また、楽天の巻き返しはあるのか。目がはなせない。

一方、出版社にとっての大きな問題は、電子書籍を配信するプラットフォームをどうするかということに加え、価格と分量をどうするか?である。

これまでの紙ベースの世界では、ページ数でだいたい決まっていたようだが、これからはそうもいかない。電子書籍ならではの速報性・追加改訂という機動力もあらたな変数だ。また、内容の陳腐化に伴い価格を下げるということや、絶版になったものも復活させ、品ぞろえで勝負ということもできるだろう。まさに「ロングテール」である。アマゾンキンドルストアではこうしたやや売り上げの落ちた書籍を電子化して、価格と売り上げの実験が行われている。価格とランキングをたまに眺めるだけで、いろいろなことが見えてくる。

また、誰でも電子出版を行えることになったので、ここでも新しい展開が起こるだろう。アマゾンキンドルストアでは、有象無象の新人?一夜作家がひしめきあっている。当然、その品質はピンからキリまである。

このピンキリの中から、個人作家はなんとか抜け出す方法を考え、出版社はこの個人作家の群れをなんとか活用できないかと考える。また、個人出版と出版社の違い、付加価値というものも見えてくる。

ニートといわれる人たちに、これまでのブログアフィリエイト・FXに加え電子書籍という新たな希望が加わった。

これから、いろいろと舞台の裏表で悲喜こもごもの面白い動きが起きそうなので、執筆家のひとりとしてこの動きを追っていきたいと思う。