2013年3月5日火曜日

日銀新体制

大胆かつあらゆる手段をとることで、期待に働きかけて緩やかなインフレを作り出す。この考え方は一理ある。「古き良き時代」を「取り戻す」ための必要条件だろう。(もちろん2の矢3の矢そして4の矢が十分条件)

期待に働きかけるということは、因果関係が必ずしも明確ではないといことを暗示しているわけでもある。このため、経済学上は異論が投げかけられている。議論がかみ合わないのは、この際しょうがない。しょせん経済学に答えはないのだから。前例がないことなので、やってみなけりゃわからない。わずかでも望みがあるなら国民も期待をかける。

無制限な資金供給を辞さないということは、日銀総裁はグローバル金融市場における最大のプレーヤーの一人になるわけだ。そんな人の真意が簡単に市場から見透かされるようでは、うまくいくものもうまくいかないだろう。場合によってはブラフでもとことん突っ張る必要がある。たとえ自信がなくても自信を振りまかねば期待はコントロールできるはずがない。

ところで、日本経済の運命を背負って金融市場と闘っていく気構えと覚悟は本当に大丈夫なのであろうか。

表情や言葉尻からはその内に秘めたる凄味が感じられない。簡単にできると考えているのではないかという口ぶりが非常に気になる。これも作戦のうちならいいのだが。

マーケットの本当の怖さをしらない官僚出身者と研究室で考える学者のコンビで本当にこの前代未聞の挑戦を適切にコントロールできるのであろうか。それこそ途中でおなかが痛くなりましたというのではもちろん済まない。

それだけが妙にひっかかるのである。